田舎娘の世界一の焼菓子屋さん

甘いものが大好きで、放課後は駄菓子屋さんに行くのが一番の楽しみでした。

小学4年生の頃から、
"自分で作ればいっぱい食べられる！"
と焼菓子作りにハマった私は、
１日１０種類を超える焼菓子を焼きまくり、家族からクレームをもらうほど。

小学校３年生で転校し、少々の居心地の悪さを感じながらの日々の中で、
夢中で焼菓子を作る時間は、現実逃避にも似た、
かけがえのない時間だったように思います。

焼いたお菓子がきっかけでたくさんのお友達が
「ありがとう」って声をかけてくれた、あの瞬間、あの笑顔。
小さな私の大きな自信になりました。

あの頃、一人で心の中に描いた、「お菓子屋さんになりたい！」という夢を
同じ夢を持つスタッフみんなと叶えていける今。
とてもとても幸せに感じます。

レパートリーは、世間知らずだったあの頃の私が
「世界一美味しい！」と自負していた自信作ばかり。
何度も手書きで書き込み、ぼろぼろになったレシピ帳を引っ張り出し、
試作を繰り返し出来上がったお菓子たちです。

ショーケースにずらりと並んだその姿は、
３０年前ダイニングテーブルに並んでいたあの時の姿とは違って、
堂々としていて自身にあふれているように見えます。

転校なんて、ありふれた小さな出来事でさえ、大事件だったあの頃。
私には大きな勇気と自信をくれたお菓子たち。
今日のあなたに、おやつのパワーが届きますように。